夜の海に泊まる船

生花正風体 水仙
生花正風体
水仙

伝統的な「泊船(とまりぶね)」という生け方です。夜のしんとした海に泊まる船を象っています。船の生け方では、花が帆を表していて、この泊船は帆を畳んだ姿になります。

伝書に「いかにも物静なる意を生くるなり」とあります。あまり動きをつけず、すっと生けるのです。どんな材料でも生けられますが、直ぐに伸びる水仙はこの生け方ととても相性がいいです。

水仙は葉が右巻きにねじれています。そのため、後ろ側の葉は右へ、前側の葉は左へ自然と広がります。体と呼ばれる手前の低く入っている部分は、それとは逆に葉を働かせるためとても難しいのです。そこに随分と苦労されていましたが、最後まで諦めずに完成させました。いい心意気です。よく頑張りましたね。