めでたい花

生花正風体
万年青
生花正風体
万年青

万年青は冬に真っ赤な実を結びます。その実を見所とします。

いけばなでは通常、実はお客様をお迎えする席やお祝いの席にはいけません。実はとても美しいのですが、実を結ぶということは、完成つまりそこで終わりという風に捉えることもできます。ですから、そういった特別な席ではいけないことになっているのです。

ところが、万年青は実を賞するものでありながら、例外的にお祝いの席に良いとされています。その理由は万年青の性質にあります。多くの草花はその季節が終わると枯れてしまい、地上からは姿を消してしまいます。例えば今が盛りの水仙は、春になると全て枯れて次の冬まで全く消えて無くなります。ところが万年青は一旦出た葉は数年は枯れません。ですから、新しい葉が出てきても古い葉もまだ残っており、絶えることなく青々とした葉が続くことになります。これを強い生命力であったり子孫繁栄の象徴と見るわけです。そういう見方から万年青は大変にめでたいものとされて、実が見せ場でありながらお祝いの席に相応しいものとなっているのです。

昔から婚礼の席や正月を迎える花としていけられてきました。当教室でも毎年年末は万年青を稽古します。これをいけるといよいよ今年も終わりだなあという感じがします。