いけばなの3つの様式

いけばなに関する読み物

いけばなには大きく分けて3つの様式があります。立花(りっか)、生花(しょうか)、自由花(じゆうか)の3つです。流派によって呼び方が違ったり、もう少し細かく分けることもあります。池坊ではこの3つに分類しています。これからそれぞれについて説明します。

立花

いけばなの様式の中で最も古くに成立したものです。室町時代の後半にその原型が出てきて、江戸時代の前半には確立します。

名人と言われた二代池坊専好の立花

いけばなのルーツは様々なものが考えられますが、その中のひとつに立てる花があります。神仏に祈りを込めて花を捧げるときには、乱れた姿よりも、かしこまった立てる姿をとることが多かったでしょう。そのような立てる花が元となり、立花へと発展したと考えられています。

立花の特徴

立花の最大の特徴はたくさんの種類の植物を使うということです。自然界には姿形の異なる様々な植物が存在していて、共存しています。そのような自然のありようを1つの作品の中で表現しています。

例えばこの作品を見てください。力強い松の枝、それに寄り添うようにゆったりとなびいているのはオクロレウカという葉です。華やかな大輪の芍薬もあれば、足元には小さな都忘れの花が見えます。中心部には枯れた枝も入っていますね。このようにそれぞれ全く違った個性を持った植物たちが、それぞれの魅力を見せながらも、自己主張するだけでなく全体として美しく調和するというのが立花の世界なのです。

たくさんの異なった個性を持つ種類の植物が調和するように、様々な工夫が凝らされているため、複雑な構造をしています。また、作品も大きくなりがちです。特に伝統的な立花は、標準的なものでも高さは1mを超え、中には高さ12mの立花が立てられたという記録もあります。力強く迫力のある様式です。

立花の現在

伝統的な立花は、行事の際や大切なお客様を迎える際など特別な場面で立てられてきました。そのため、作品は大きくて、力強く豪華絢爛な姿になります。しかし、現在はこのような大きな作品だけでなく、もう少し軽やかな雰囲気の立花も立てられるようになりました。また、日本に昔からある植物だけでなく、外国の植物も使われるようになっています。

伝統的な立花
現代的な立花

また、伝統的な立花に加えて、当代の家元である池坊専永宗匠が立花新風体を発表しています。伝統的な立花は正風体と呼ばれ、型があり、細かな約束事を持っています。新風体はそのような型を持たない立花です。現在の立花は、さらに細かく分類すると、型のある正風体と型のない新風体の2つがあるのです。

立花正風体
立花正風体
立花新風体
立花新風体

生花

「しょうか」と読みます。ほかの流派では「せいか」と読むところも多いです。江戸時代の中頃に発生したと言われています。立てる花から発展した立花に対して、軽やかないける花を元にして生まれたのが生花です。

池坊の生花を確立した池坊専定の生花

生花の特徴

生花の特徴は簡潔さです。立花と対照的で、なるべく少ない種類で、数も少なくいけます。立花が自然の景色全体を引いて見た視点だとすると、生花は1つの植物にぐっと寄って見ているという感じでしょうか。立花と比べると小さくなり、構造も単純です。重厚で迫力ある立花に対して、軽やかな雰囲気になります。

桃の生花
水仙の生花

よく日本の美の特徴として、省略の美ということが言われますが、いけばなの中でそれに当てはまるのはこの生花という様式です。無駄な物を削ぎ落として、少ない数で物を言わせます。

大型化し、特別な場面で立てられた立花に対して、もう少し日常的な花として、庶民にまで広まります。ハレの花としての立花に対し、生花はケ(日常)の花として親しまれてきたと言えるでしょう。

生花の現在

もともと床の間にいける花として発展してきたのが生花です。日本の住居から床の間が消えつつある現在では、暮らしの中に生花が飾られることは少なくなりました。しかし、簡潔な姿は現代の感性に合うようで、若い方にはこの生花は人気があります。

形の上では立花ほどに大きな変化はありませんが、立花同様に、現在では日本に昔からある植物だけでなく、外国の花も使われるようになりました。また、生花もさらに細かく分類すると型のある正風体と型のない新風体に分られます。

生花正風体
生花正風体
生花新風体
生花新風体

自由花

その名の通り、型を持たずに自由に創作するいけばなです。伝統的ないけばなである立花、生花とは全く違った美を表現できる可能性があると言えるでしょう。新しく、決まった型もないので、現在もそれぞれの作家が模索中の様式とも言えます。

自由花の作例

自由花
自由花
自由花
自由花
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