稽古で学ぶこと
井上太市池坊いけばな教室で学んでいただくのは「池坊(いけのぼう)いけばな」です。池坊というのは日本のいけばなの元祖です。つまり最も正統的ないけばなを学ぶことができます。
池坊の特徴は古典から現代的な花まで幅広くあることです。長い歴史を経て培われた美観をもとにして、今の感覚に合った花が楽しめます。
池坊の花は大きく3つの様式に分けられます。立花(りっか)、生花(しょうか)、自由花(じゆうか)の3つです。立花と生花は古典的な花で型があります。自由花はその名のとおり型がなく、自分で創作する花です。
池坊やその花についての詳しい解説はこちらのコラムをご覧ください。
稽古は自由花から始めます。様々な種類の草木に触れながら、草木の見方や扱い方を学びます。何度も稽古を繰り返すうちに自然と草木の生かし方が身につきます。
ある程度稽古が進むと生花に入ります。生花というのは江戸時代の中期に成立した様式で、250年程の歴史があります。簡潔で洗練された姿が特徴です。長い年月で磨かれた美感を学びます。
さらに稽古が進むと立花に挑戦します。立花とはいけばなの祖型で、500年程の歴史があります。複雑で豪華な構成が特徴です。池坊のいけばなを学ぶからにはぜひ取り組んでほしいものです。
最終的には立花、生花、自由花の3様式を並行して、それぞれの目的や技量に応じて稽古します。
一口にいけばなと言っても、飾る環境や目的によって様々です。日常的に自分の部屋に飾る花、お客様を迎える際に飾る花、店舗の装飾など人目に触れる場所に飾る花、展覧会に出す花、稽古の花、ほかにも様々な場面があるでしょう。
当教室ではどのような状況にも対応できる基礎的な力をつけることを目指しつつ、一人一人の希望に応じて稽古を進めます。
それから、僕は挨拶や準備、片付けも稽古の大切な中身の一つだと考えています。花だけいけてさっと帰りたいという気持ちはよくわかりますが、良い花をいけるためにも心を整えてゆっくりと丁寧に取り組むことが肝要なのです。そいういったことも学んでいただきたいと思います。
免許状について
稽古の進み具合に応じて、華道家元池坊の免許状を取得できます。免許状はそこまで稽古を続けたという達成の証であると同時に、新しい内容を学んでいいというお許しの意味合いがあります。
免許状の段階に応じて、花伝書も下付されます。花伝書とは昔から伝わっている生け花に関する様々な伝をまとめたものです。先人の知恵や美意識が詰まった伝書を基にお稽古することで、より深い内容を学ぶことができます。