上手くなると信じている

立花正風体
水仙、小菊
立花正風体
水仙、小菊

この写真は17年前に僕が立てた水仙一色です。いけばなを初めて6年目の作品です。

それから17年、今年立てた水仙一色が次の写真です。

古典立花
水仙、小菊
古典立花
水仙、小菊

雲泥の差ですね。コツコツ稽古を続けると、こういう風に上達するのです。我ながら驚きます。

何事もそうかもしれませんが、いけばなの稽古は成果がすぐには目に見えません。1回稽古をしたからといって、1回分明確にここが上達したとは、自分にも傍目にもわかりません。10回、20回と稽古を重ねても同じようなものです。場合によっては、何年経っても全然上達していないのではとか、かえって下手になったのではないかと感じることもあります。

ですから、真剣に考えると結構悩んだり不安になったりするものです。僕自身も花をいけるのが嫌いになったわけではないけれども、苦しかった時期は何度もあります。僕は教えることもしていますから、自分のお弟子さん達を見ていてもそういう風に悩んでいるなと感じることはよくあります。

それでも、こうして振り返ると、いつの間にか随分と上達しているのがはっきりわかります。今でもうまくできることの方が稀ですが、それでも長い目で見ると上達するのだろうという確信が今はあります。

僕は美的なセンスがなく、そして怠け者です。それでもずるずると23年も続けていると、ある程度人様にも見せられるような花がいけられるようになりました。人より才能があったり、人より特別に努力をしたわけではなくても、続ければ成果が出るのだという事を身をもって理解しました。

今稽古に励んでいる方や、これからいけばなを始める方は、これから先何度も壁にぶつかるでしょう。それでも、続ければきっと上達する、僕はそう信じています。僕のささやかな経験から導き出された、根拠もあやふやな確信ですが、胸を張って信じることができます。