昔から葉蘭は稽古始めの品とされています。生花の基礎を理解するのにふさわしい花材なのです。ですから、僕のところでは、始めて生花をやる方は葉蘭から始めてもらいます。最初に数回葉蘭を繰り返して稽古した後は、違う花材に移ります。しかし、それで葉蘭はおしまいということではありません。折に触れて葉蘭を稽古します。
僕は、葉蘭の生花はスポーツで例えると素振りやパス練習などの基礎トレーニングのようなものだと思っています。スポーツ選手にとって、実戦で得られることはとても多いと思いますが、同じように日々の地道な鍛錬も重要でしょう。いけばなでも様々な花材を経験することは大切ですが、時々は葉蘭に立ち返って、生花の基本構造を体に叩き込むことが上達につながると考えています。